センター試験のムーミン ~埼玉の小さな塾の考察

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センター試験のムーミン ~埼玉の小さな塾の考察

2018/02/09 センター試験のムーミン ~埼玉の小さな塾の考察

年明けのセンター試験に続き、2月1日には東京都で中学入試が解禁されました。

これからの時期は高校受験に大学受験に、言葉選びは慎重になります。

 

既にセンター試験の話題はほとぼりが冷めてしまい、

世間の話題は恵方巻にさらわれました。

 

が、どうしてもムーミンのことでモヤモヤしていたので、

話題をぶり返してみます。

 

今回のセンター試験では地理Bが非常に注目を浴びました。

そう、ムーミンが登場したからです。

 

この出題に関する賛否は非常に分かれますが、

個人的には非常に好意的かつ良質な設問だったと考えています。

 

このムーミンの設問で正解を導き出す方法は

多くのメディアやブロガーなどで論じられてきたため

ここでは割愛し、事前に何か手を打てなかったのか、

ということに論を少々投じたいと思います。

 

 

Q.提示された設問の資料から読み取れる材料は無いのか?

 

あるんです。

 

▶1つめ。

ムーミンがフィンランドを舞台にしたアニメであることを

知らないことを前提にしたとしても、

「小さなバイキングビッケ」は”バイキング”です。

 

バイキングとは、9~12世紀頃に海賊行為とともに

交易をしていたノルマン人で、ノルウェー沿岸部に住んでいたことから、

「沿岸」や「入り江」を意味する「ヴィーク」に由来すると言われています。

 

この名前の由来を知らなくても、

地理で受験に臨んでいる受験生であれば

ノルウェーとバイキングは結び付けられるはずです。

 

▶2つめ。

言語を選択しなければならない設問ではありますが、

さすがに教育課程に無い言語そのものを問われ

解答させられることはまずありません。

 

「いくらですか」と聞くノルウェー語とフィンランド語の

資料には挿絵があります。

 

Bにはトナカイの挿絵がありますからサンタクロースと

結びつけることができ、サンタクロース村があるとされる

フィンランドを選択できるのです。

 

これも、地理受験者であれば、知っておきたいことですね。

 

 

これら2つの考察から、解答を導き出すことができます。

 

 

Q. ムーミンは大学入試に求められる(相応しい)題材なのか

 

このような批判めいた意見もあったと聞きますが、

キャラクターの問題ではないと考えています。

 

どういうことかというと、それまでの総合的な知識を基にした

設問に対して解答を導き出す力があるかどうか、が問われているのです。

 

幼少期にムーミンを見ていた、知っていたということが問題ではなく、

仮に興味がなかったとしても、様々な情報に触れる機会があったかどうか、

ということと併せて、

提示された資料から情報を読み取る力が求められるのです。

 

子どもが自ら様々な情報に触れることはできませんが、

親をはじめ大人がそのような機会を作ってあげることが大切です。

 

「受験」に向けて勉強に集中していることは

大変素晴らしいことですが、「受験」に必要なことが

直ちに社会で必要とされることにはなりません。

 

ゴリゴリ勉強に向き合うだけではなく、

広く社会を見渡している時期も大切だということです。

 

一般常識、教養、リベラルアーツ、と色々な言葉で表現されますが、

受験勉強とは領域の異なる分野でも、知っておいて損はないことが

たくさんありますし、むしろ、社会に出た時にはそのような受験勉強

とは領域の異なる知識を重宝されることがあります。

 

世界中のキャラクターを知っておくべきだ、ということではありません。

日常の生活の中に学ぶ題材がたくさんある、ということです。

 

 

今回の受験生にそのようなことを言っても後の祭りですが、

特に地理については歴史も政治経済も、科学や芸術なども、

教科としての「地理」だけで全てをカバーするのは極めて困難です。

(私もセンター試験は地理受験でした)

 

地理は、様々な教科が複合的に織り交ぜられた素晴らしい科目だと考えています。

一般的に教養だとされることも含めて、地理は特に広い視野が求められると思います。

 

 

最後に、

先日は高等学校の新学習指導要領が新聞に載りました。

そこに書かれている内容・・・

資料から読み取る力など総合的な思考力を育成していくための

様々な学習の在り方が取り上げられています。

 

知識偏重の学習の在り方は、今後大きく変わります。

 

学校のカリキュラムが変わって大変だ!

 

ということではなく、本来の在るべき勉強の姿に近づいたのではないか。

そう考えています。

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